2024年を振り返って、今年一番の出来事と言えば、
仕事で私が携わった開発品が2024年度グッドデザイン賞を受賞したことです!
製薬会社で働く私には縁のない賞だと思っていましたが、
開発者として、これほどうれしいことはありません!!
私が開発に携わった医薬品は、開発期間10年以上かかり、ようやく2024年に販売に至った待望の新薬です。
グッドデザイン賞への応募は会社でも初めての試みでしたが、なかなか貴重な体験でした。
応募から受賞までの道のりを振り返り、その過程で学んだことや感じたことを共有します。
グッドデザイン賞とは?
テレビCMで「グッドデザイン賞 受賞 ●●の家」とよく耳にしていました。
住宅、家電・家具、生活用品等が受賞されるものであって、いわゆる“デザイナー”と呼ばれるオシャレな人たちが作ったものが受賞されるんだろうな~と思っていました。
オシャレな人たちに関係するものであって、私のお仕事の医薬品開発とは無縁な賞だと思っていました。
しかし、グッドデザイン賞について調べれば調べるほど奥が深かったです!
▼グッドデザイン賞ってなに?
グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみです。
60年以上にわたり「Gマーク」とともに広く親しまれながら、
デザインによって、暮らしや社会をよりよくしていくための活動をしています。
(g-mark.orgより引用)
▼有形無形のあらゆる「デザイン」
デザインの領域を広げることは、デザインの可能性を広げること。
グッドデザイン賞では、理想や目的を果たすために築いたものごと
すべてを「デザイン」とし、有形無形のあらゆるものが応募対象です。
(g-mark.orgより引用)
▼審査の視点
グッドデザイン賞では、かたちのある無しにかかわらず、
人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価しています。
(g-mark.orgより引用)
見た目やカタチのデザインが評価されるものと思っていましたが、
その製品や取り組みが「どんな未来をつくるのか?」という視点でも評価されます。
調べてみると、数は少ないけど医薬品での受賞もありました。
応募のきっかけ
きっかけは上司からのメールでした。
上司「他社の友人から教えてもらったんだけど、グッドデザイン賞への応募があります。せっかくの新製品なので応募してはどうかな? でも、今日の13時が締め切りみたいです。」
応募締め切り(5月23日(木))の当日の朝8時にメールが来ました・・・
えーっ!? 締め切りまであと5時間しかないじゃん!!💦
後述しますが、応募に際して登録する内容は5時間でできるほど簡単ではありませんでした。
しかし、ラッキーなことが起こりました。
締め切りの5月23日はグッドデザイン賞の応募ページにアクセスが集中しすぎたのか、応募ページがダウンしてしまいました。
なので、締め切りが5月27日(月)まで延長されました。
土日を挟んだので、すこし時間的に余裕ができました。
応募から一次審査
一次審査は、応募時に登録した情報をもとに審査されます。要するに書類審査形式です。
以下のような内容を登録します。
【登録情報】(受賞すると公開されます)
- 仕様
- 写真、動画
- 概要(日本語/英語どちらも)
- デザインのポイント
- デザインが生まれた理由/背景
- デザインを実現した経緯とその成果
- プロデューサー、ディレクター、デザイナー情報
補足情報を書く欄もありました。
【補足情報】(非公開)
- デザインの改良、競合・類似デザインとの差異について
- これまでの実績
- 自由記入欄
- 取得した産業財産権登録番号 等
エントリーページから受賞ギャラリープレビューと表彰状プレビューを見ることができます。入力した情報をすぐに表彰状や受賞ギャラリーのカタチにしてプレビューできるようになっているんです!
自分の名前が載った表彰状や受賞ギャラリーのHPが見えるんです!
これは見てて楽しかったですね! 私の応募へのモチベーションにつながりました!
「もし受賞したら、表彰状に自分の名前が載るのか~!」
「もし受賞したら、こんなホームページになるのか~!」
さすがグッドデザイン賞! 応募する時からワクワクさせてくれました!
一次審査への応募での苦労
製品情報を登録するのですが、この文章に頭を悩ませました。
もちろん製品の魅力が審査員に伝わるように文章を書かないといけませんが、
もし受賞したら、ここで登録した文章がそのまま受賞ギャラリーに掲載されます。
一般の人にも伝わるような、平易な言葉でわかりやすい文章を書く必要がありました。
(後日わかりましたが、二次審査通過後に文章の修正ができました)
それぞれに文字数制限があり、400文字以内で伝わる文章を書かないといけません。
過去の受賞品を見ると、おそらくコピーライターが書いたようなオシャレなフレーズばかり。
例えば、2023年度に受賞したプリウスを見てみると、
なんかもう、写真のクオリティから違う!!
「環境車=シリアスで退屈」 「一目惚れするようなファーストインパクト」・・・
こんなオシャレフレーズ、思い浮かばない・・・
いかに社会に役立つ製品であるかを語ろう!
審査の視点にあった4つの視点(人間的視点、産業的視点、社会的視点、時間的視点)を考え抜くことにし、開発品の特徴をとにかく箇条書きにしていきました。
また、2024年のテーマが「勇気と有機のあるデザイン」ということだったので、
開発を進めてきた中での勇気ある決断をしたこと、
それはユーザーや患者さんのことを考えての決断であったこと、等
10年以上の開発期間を振り返りながら、4つの視点にそった製品特徴を紙に書き出しました。
「文章のキレイさより、まずは内容の数で勝負!」
「文章は後で整えればいい!」
ってな感じで書き始めました。
人間的視点:この医薬品を使う患者さんへのメリット。医療従事者が使いやすい工夫。
産業的視点:この医薬品を安定的に製造できる技術。苦労して開発し特許化もできた。
社会的視点:この医薬品でどんな未来が作れるか?健康面・衛生面への影響
時間的視点:開発期間10年以上。海外では承認済みの薬だが日本は遅れていた。その時間的ギャップを埋めた。
書きなぐった紙を後日見返してみると、全く文章としてまとまっていませんでしたが、製品特徴や開発者としての思いの丈をとにかく言語化しました。
思いの丈を書き出してみると、箇条書きであれば次々と言語化できました。
4000文字ぐらい書いていました。
文章としてのまとまりは全くありませんでしたが、言語化できた数はたくさんありました。
ただ、応募〆切りまでの時間がなかったので、短くまとまった文章に仕上げるにあたり、ChatGPTの力を借りることにしました。
こういうのはAIが得意なところでしょう。
私の箇条書きを文脈の整ったキレイな文章にしてもらい、最後は自分の言葉で文章を仕上げました。
コピーライティングのようなカッコいいフレーズはありませんが、製品の魅力が審査員や一般人にも伝わる文章になりました!
一次審査を通過!
超バタバタで応募しましたが、なんと一次審査を通過することができました!
開発者としての想いが伝えることができた!と実感できた瞬間でした。
上司もビックリしてましたね! 笑
次は二次審査です。それはまた次回。