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ベストセラー本『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』。
ビル・ゲイツが「これまで読んだ本の中で最も重要な本の一冊」と絶賛した名著。
ようやく読んでみたところ、世界の見え方が一変しました。
結論から言うと、この本は「もっと早く読んでおけばよかった」と感じる一冊でした。
データに基づいた視点を持つことで、必要以上に不安になったり、誤った判断をしてしまうことが減ると感じました。
「ドラマチックすぎる世界の見方」が私たちを誤らせる
最近、「米騒動」や「物価高騰」など、不安をあおるニュースが目に留まることが多くなったと感じませんか?
世の中はどんどん悪くなっている・・・
でも、ホントに世の中、そんなに悪くなっているのか?
そんな疑問を持っていた私が出会ったのがこの本、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』。
事実(データ)に基づいて世界を正しく見る習慣を提唱する本です。
本書では、多くの人が世界を「ドラマチックすぎる見方」をしていると指摘しています。
高学歴エリートやノーベル賞受賞者など、どんなに賢い人でも先入観や思い込みにとらわれることを思い知りました。
高齢者の交通事故が増えている、自然災害が増加している、世の中は悪くなっている一方だと思い込んだりすることが多いですが、データをもとに客観的に物事を見ると違う現実が見えてきます。
10の思い込み本能
私たちが世界を誤って捉えてしまう原因として、人間が持つ10種類の本能(認知バイアス)を紹介しています。
- 分断本能:世界や物事を単純に二つのグループに分けて考えてしまう傾向
- ネガティブ本能:世界はどんどん悪くなっていると思い込む傾向
- 直線本能:グラフが直線的に伸びていると、その先も同じように直線的に変化し続けると考えてしまう傾向
- 恐怖本能:知らないものを怖いと感じ、根拠のない恐怖に過剰に反応してしまう傾向
- 過大視本能:必要以上に高い発生率や広範囲で起こっていると錯覚してしまう傾向
- パターン化本能:少ない事例を見ただけで、全体がそのようになっていると誤解する傾向
- 宿命本能:物事は始まりからそうなるようにできており、変化しないと思い込んでしまう傾向
- 単純化本能:物事を理解するためにシンプルな捉え方をしてしまい、多角的な視点を見落とす傾向
- 犯人探し本能:何かの発生原因を特定の個人や団体に押し付けてしまう傾向
- 焦り本能:課題に直面した際に、いますぐ行動を起こさなければならないと感じ、性急な判断を下してしまう傾向
これらの本能が「ドラマチックすぎる世界の見方」を生み出し、事実に基づかない判断につながるとされています。
これらの本能を認識し、データに基づいて思考することが「ファクトフルネス」の実践において不可欠であると、本書は訴えかけています。
「ドラマチックすぎる世界の見方」
「事実に基づかない判断」
たしかに私たちの身の回りでもよく起こっていると思いました。
令和の米騒動は「焦り本能」と「犯人探し本能」!?
たとえば、最近話題の「令和の米騒動」もその典型ではないでしょうか?
・コメ高騰!1キロ4000円超!
・店頭からコメが消えた!
こういうニュースを見ると「焦り本能」を掻き立てられます、
「やばい!早く買っておかなきゃ!」と多くの人が焦って買いに走る ➡ 品薄になる ➡ さらに不安になる、という悪循環が起きます。
これこそが「焦り本能」の仕業。
どこかで大きな地震が発生した翌日に、スーパーからミネラル水がなくなるのもまた同じですね。
また、「政府が悪い」「JAが悪い」などと声を上げたくなる気持ちもわかりますが、これも「犯人探し本能」によるものかもしれません。
“悪いニュース”は目に留まりやすい|「ネガティブ本能」と「恐怖本能」を活用するマスコミの作戦
“悪いニュース”は目に留まりやすい
これはホントに同感です。
本記事を書いた日の新聞にもやはりありました。例えばこういうもの👇
(毎日新聞より)「ワクチンで死者激増」主張、今は? 国民・須藤元気氏を直撃 | 毎日新聞
マスコミは「悪いニュース」をよく取り上げます。
なぜか?
視聴率を稼げるから。つまり、儲かるから。
マスコミといえども企業である以上、利益追求は当然ですが、
「高齢者が高速道路逆走で事故」はニュースでもよく目にしますが、
「今日は交通事故がゼロでした」なんてニュースは見たことがないですね。
「ネガティブ本能」や「恐怖本能」は、人類が生存し続けるために、危険を回避するよう備わったもの。
だから、危険を感じることに、人の注意は向くようになっている。
このことを理解しておかないと、SNSで変な勧誘にだまされたり、詐欺にお金をだまし取られることにもなりかねません。
「先進国 vs 途上国」はもう古い?「 分断本能」を疑う
本書では、「世界を“二分”して考える癖」にも警鐘を鳴らしています。
たとえば、「先進国」と「途上国」に世界を分けて理解しがちですが、実際の世界銀行の分類は以下の4区分。
所得分類 | 国数 |
---|---|
高所得国 | 86か国 |
中高所得国 | 54か国 |
低中所得国 | 51か国 |
低所得国 | 26か国 |
2000年代に有名になった「BRICs」も、途上国と一括りに考えていました。
が、現在の分類はバラバラ👇。
- ロシア:高所得国
- 中国・ブラジル:中高所得国
- インド:低中所得国
かつて途上国と言われた国々の発展は、テレビ番組「世界の果てまでイッテQ」を見ていても感じます。
ある日のイッテQで、アフリカの原住民のおじいさんが紹介されていました。
民族衣装のおじいさんが、竹笛で遠くにいる奥さんを呼び出すといった
昔からの風習を披露していました。
しかし、実際には竹笛を吹いても奥さんは来ず、
結局、おじいさんは携帯電話で奥さんを呼び出していました。
「文明の利器を使うんかい!?」ってツッコまれていましたが、
別の見方をすれば、アフリカの原住民でも携帯電話を持てるほど経済発展しているとも言えます。
実際のところ、少しずつだが世界は良くなっているのでしょう。
「思い込み」がビジネスの可能性を狭める
この話は、私たちの仕事にも深く関わります。
私の勤務先では、「アジア諸国に医薬品を展開できないか?」という議論がよくあります。
でも決まって「めちゃくちゃ安くしないと無理」と結論づけられて終わります。
しかし、よく考えてみたい。
医薬品の開発には10年単位の時間がかかります。
その間に、対象となる国々の経済状況が変わる可能性だってある。
「10年後も“今のまま”」という思い込みこそが、未来の大きな市場を見落としているのではないか。
そう思い直すきっかけになりました。
「数字だけではわからない」こともある
数字がなければ世界は理解できない。だが、数字だけでは世界はわからない。
本書で最も印象に残った一節です。
ある国の大統領は、国民の経済状況を統計上の数値だけでなく、「お祭りで履いている靴の変化(はだし → ボロ靴 → きれいな靴)」で感じ取っていたそうです。
統計と現場の両方を見る姿勢。
これが「本当のファクトフルネス」なのだと思います。
まとめ|あなたの“世界の見方”は、偏っていないだろうか?
『FACTFULNESS』は、単なるデータの読み方を教えてくれる本ではありません。
自分の「思い込み」に気づき、少し冷静に世界を見つめ直すための「習慣」を教えてくれる本です。
これからの不確実な時代、あふれる情報や感情に振り回されずに判断する力は、仕事でも生活でもますます重要になっていくと感じました。